※ 展覧会の様子がパノラマでご覧になれます
アトリエRuuRuu時代の忌野清志郎衣装特別展示
2023年 5月12日(金)~21日(日)
● オープニングパーティー「花と少年」5月14日
出演 ZUM わっきー☆なりなり 万水 雄大 肇 かずマロ たっちゃん Tom Archer
マッシ- RIKO 生方洋佑 伊地知完 Ryu MC : ムンロ王子 DJ : str☆a.k.a satri 蜻蛉
音楽 : 佐藤康子(25弦箏) HANOI BON’Dz
サポート : 楽天花(ミコランジェロ) 絵画布(河野夢以) 写真(出原麗) 照明(HIKARIASOBI)
映像撮影(キム・スンヨン、リッキー) 花デコレーション(想創花人、ナディア、∞ASOBI)
植物提供(小山さん) ボディペイント(hacumai) 立体オブジェ提供(矢野理恵)
・トークショー「流れるままに夢を生きて」Ruu Ruu×篠原 章太朗
● クロージングパーティー「キセキの銀河」5月21日
出演 サワ ナディア 百華 紀Nori Satri マサ Uoomin ようこ ありす Rico
MC : @ma 音楽 : べりかぞく(mui & fairyfloss)
・100%PARADE 大学通りを楽しく散歩しましょう!
展覧会場
ルウさんの帽子と矢野理恵のオブジェ「空中散歩」
忌野清志郎のステージ衣装の数々
オープニングパーティー「花と少年」
佐藤康子さんと二十五絃箏
トークショー
「流れるままに夢を生きて」
Ruu Ruu×篠原 章太朗
クロージングパーティー「キセキの銀河」
「キセキの銀河」 フィナーレ
100%パレード大学通り
・「極楽浄土を目指して」 宇フォーラム美術館 館長 平松朝彦
まず、簡単なイベント展示の説明。ルウさんは国立在住のファッショナブルな帽子作家ではあるが、アトリエRuu Ruu時代(1988~1991)に、ロックミュージシャンの忌野清志郎氏のステージ衣装をデザイン、制作し注目された。ところで忌野清志郎氏は1951年生まれで国立市にも縁がある。当館から北に裏道で約600m位にある「たまらん坂」近くに住み、その坂にちなんだ歌を作った。最寄りの国立駅を多く利用した。2009年、58歳で亡くなるが、彼の命日5月2日に合わせて、まずは彼の衣装を展示するという企画だ。彼が生きていれば参加したはず。
ルウさんの企画展は今回で3回目であり、帽子展、ファッションショーさらに音楽、踊り、舞台もあるきわめてエンターテインメントなもので毎回熱心なファンが訪れる。美術館でのファッションショーはメトロポリタンミュージアムでも行われているが2018年に始めた当館の方が早い。ルウさんの衣装は一言で煌びやかで、造花など植物的な模様も取り入れられている。ステージ衣装としても画期的であり、身にまとうアートでもある。一方、ルウさんにとってこのイベントはむしろカーニバル。最後にはサンバのように町に出る。ブラジルのサンバの衣装は当地で「ファンタジア」と呼ばれ、当地のサンバを見たルウさんはイベントを考える人である「カンナパリスト」になりたいと思ったという。そしてそれを実現した。しかしひとりでできることではなく、多くの賛同者が必要だ。会場内には様々な植栽、花や、アートな造花が飾られているが、当会会員の軽部弘子さんと齋藤薫さんもフラワーアレンジメントで参加。数えると当会の会員が5名も参加していた。
今回のクロージングパーティーで行われた「キセキの銀河」には子息の夢以(ムイ)さん、妻のジョーさんが音楽(CD)で参加している。アーチストの夢以さんは海外で活動していて、今回、本人はフランスにいるため参加していないが、彼の大胆でカラフルな花の絵をプリントした巨大な絵画布が飾られている。また今回は造形作家である矢野理恵さんの植物系の大きなオブジェが会場入口に展示され、そのオブジェも独特の帽子とマッチしている。
オープニングパーティーは、ルウさんの衣装をまとった人たちによるファッションショー「花と少年」。少年(中年、老年?)によるパフォーマンスだ。音楽も手が込んでいて、気鋭の二十五絃箏奏者の佐藤康子さんによる熱演が注目された。クロージングパーティーはカナダの作家Della
Burfordの「マジカルレインボー」を原作とする八つの天使の物語。今回は新たに中央にポールダンスの舞台が設置され、当館でもおなじみのサワさんが仮面をかぶり緑の衣装でアクロバティックなポールダンスをされ、恒例の「Hikariasobi」によるミラーボール的な照明も効果的。八つの天使もそれぞれユニークな衣装に身を包み会場は盛り上がる。最後は、参加者が大学通りでパレード。ラウンジだけでなく屋外には餅つきやピザ窯のピザ屋まで出現して出店も充実。ピザ窯で焼かれたピザはビーガン仕様という「愛」のこだわり。
彼女のスローガンは「愛と平和」。ルウさんは歴史的文化の町、京都に生まれた。1960年代にベトナム戦争が起きるとともに、既成の価値観に対抗して様々のカルチャー文化、ヒッピームーブメントが起きた。ビートルズもそうだが平和を志向するフラワーピープルも出現。そして彼らが目指したのは東洋のインドだった。そしてルウさんもアトリエ時代にインドに行った。
今回、天井からたくさんの夢以さんのカラフルな絵画布が吊り下がり、たくさんのマネキンが並ぶ。飾られたマネキンは京都の三十三間堂の仏像のようにひしめき合っている。絵画布はまるで仏教寺院の荘厳とよばれる金銀の飾りを彷彿とさせる。かつての仏像も煌びやかだったに違いない。そして流れる抑揚のない音楽は僧の唱える声明のよう。寺院内部の空間に響く読経の中で人々は現世を忘れ、陶然としながら精神をトリップさせる。さらに妄想を広げれば、タルチョーと呼ばれるチベット経の五色の祈祷旗を思わせるポールダンスのポールの布。天使と呼ばれる踊り子とたちは菩薩か観音様か。チベット経によれば、極楽では7色の光が降り注ぎ、大きな音がして人々は救済されるという。それはヨーロッパのキリスト教と混交した全く新たなインターナショナルというか無国籍の宗教か。ルウさんは愛と平和を説く司祭であり、参加者たちはその信者なのだ。
今回のイベントの参加者は女性が多い。そもそもMuseumの語源はギリシャの9人の女神のいる神殿。京都から世界の聖地巡礼の果てに東京の宇フォーラム美術館で極楽浄土を実現した、というのは館長の感想である。