小田原佳美個展

※ 展覧会の様子がパノラマでご覧になれます



2024年 3 月28日~ 4月14日
小田原佳美個展 「EXISTENCE(存在)」
作者コメント
「宇宙・自然・命・世界の有様・人間の存在の有り様 これらの始原から現在・未来へと思いを巡らすこと 私の作品はこの想いから生まれたものです」
「偶然に立ち現れてくる空間を追いかけてる時、あたかも、世界を創造しているかのような至福を感じます。私の全ての作品は、この至福から生まれたものです。無心から出発し、宇宙、身近な自然、社会のあり様に身と心を置き、豊かな精神性を湛えた作品を制作していければと願っています。」

小田原佳美個展によせて     宇フォーラム美術館 館長 平松朝彦
ごく大雑把な経歴としては、女子美術大学と創形美術学校を卒業しパリで15年間居住して絵を描き続けられ、最近もパリの画廊で展覧会をされた。会期中に少し異国生活での苦労話もお聞きできた。今回の作品に使われた枯葉は近くの公園の木のイメージらしい。最近は埼玉県立近代美術館の現代美術展CAFネピュラ展に精力的に参加されて交友は広く、本人がいわれるところの浦島太郎状態ではない。
その間に絵はずいぶん変遷している。当初は具象のイメージもあり、その中には何か建築的要素、構造体を感じさせるものもあったが、それは自身がデザインや建築が好きだったということもあるのだろう。
しかし最近の作品は、またさらに変わって、光を感じさせる空間そのものになり、さらに抽象性を増した。表面には枯葉、砂などがコラージュされ画材の一部として使われている。それはまた、パリの人が行きかう石の道を思わせる。一方、最近作は墨を使い、日本回帰ともいえるものもある。
存在と題された展覧会ですべての作品の題は「存在」。ダイナミックで動く風を感じさせることも特徴だ。同じ題なので説明に困るが、モノクロの作品群は台風の時の雲の動きといったらいいのだろうか、すべてが、めくるめく動きとどまることがない。枯れた葉、砂が地面を舞い意図しない図柄を地面に表しながら形を変えていく。抽象ながら、うつろいゆく姿は時間の経過を表しているのかもしれない。抽象でありながら具象、具象でありながら抽象。
そもそも空を見ればそれは具象なのか抽象なのか判断できない。1925年、戦前のパリで開かれた国際的前衛美術展「"Art d’aujourd’hui "」はすべて抽象だという宣言でもあった。それに両親の師である坂田一男も参加していたのだが。
 絵とは関係ないのかもしれないが一つ感心したのが、今回のモノトーンの大きな長方形の作品群のつなげ方である。裏側の木材の枠どうしを複数のクランプによりつなげることにより自在につなげて大きくできる。やろうと思えば11枚すべてをつなげることもできる。そうすると高さ約2.2m、横約8mの大作ができる。実にシステマティックなのだ。この発想は、小田原氏自身に、合理的なデザインの才能があったからだろう。





「existence」184×219、墨、他 2023


「existence」184×73、 綿に墨、アクリル、
枯葉、種子、砂 他2024


「existence」184×73、 墨2024


「existence」50×114、 綿にアクリル、2024



「existence」100×50、 綿に墨、アクリル、
枯葉、種子、砂 他2022

 

「existence」作品部分 コラージュ枯れ葉、砂、種子