12月10日 池末みゆきwith アンサンブル・テラ
-ライアーの響き-Christmas concert
ライヤーとは竪琴のこと。池末みゆき氏は日本のライアーの第一人者で世界を回って活動されている。かなりのお年だが、来年も海外演奏会の予定。アンサンブル・テラは、ライアーアンサンブルで池末氏を師として活動されている。テラは、大地、地球を意味する。第一部は、テラとの演奏。第二部は池末氏のお話と独演会であり、多くのお客様が訪れた。クリスマスコンサートで曲はキリスト教の讃美歌などが多かったが、二紀和太留の作品が展示もあり、まるで教会のクリスマスの趣に。二部の音楽では「荒城の月」「ふるさと」など日本の名曲がしみじみと印象的。
12.10 池末
・ライアーの響きーChristmas concert DONA NOBIS PACEM
詩人 八覚正大
12月10日午後、宇フォーラム美術館で池末みゆき withアンサンブル・テラによるクリスマスコンサート「ライアーの響き」が行われた。
実は前日、所用ついでに館にお伺いしたところ館長が奥様と会場づくりをされている所だった。その奥の部屋の聖なる壁には二紀和太留作の最高傑作『荘厳』(トリプティック)が飾られ(十数年前 この美術館と出逢った最初の感動そのままに)、両脇にさらに明るい色彩の情緒を醸し出すメカニックな作品が『荘厳』を引き立てるように二重のトリプティックな配置がなされていた。椅子が多少の高低取り混ぜ六十脚用意され、その空間が参会者で埋め尽くされる光景が見るようだった。
当日、その空間の中に池末先生を中心にアンサンブル・テラの演奏者たちが、順次曲を楽しく(オリジナルに)紹介しながら演奏は進んだ。珍しく声を患われた先生は自ら「声患い」(笑)とジョークを発せられていた。約四十年幼児教育に携わり、さらに世界各国を巡り、帰国後は「コダーイシステム」と「シュタイナー教育」を日本の童謡や民話・伝承あそびと融合させた独自の幼児教育を実践されてきたとのこと。今回の演奏楽器「ライアー」(竪琴)はスイスの音楽療法現場で出逢われたと。
一人で抱きかかえられるその楽器は、ギターよりやや小ぶりで丸く、音色は謳いあげ音を振り撒くというより〈触れ奏でる〉といった触感。また七人の演奏者の誰かが目立つというより和して楽しむ――そんな感覚が伝わって来た。一方、それを置く台座はそれぞれ微妙に異なり、目立たない個性がさり気なく込められている気がした。
そして何より「DONA NOBIS PACEM」というラテン語タイトルの歌が印象に残った。内容は「我らに平和を与えたまえ」という正にこの現世への思いと、参会者も一緒に歌う(しかも列ごとに順に歌う場面も)行為参加型のクリスマスコンサートになったからと思われる、なかなか心洗われた時間だった。