ユラーテ・ナルモンテイテ

2024年9月20日(金)~10月4日(金)
ユラーテ・ナルモンテイテ Jūraté Narmontaité リトグラフ展 -Once in a Lifetime-
 9月21日16:00 ギャラリートーク アーチストトークとリトアニアハーブティーを
主催 リトアニア・アートイベント実行委員会  後援 駐日リトアニア大使館
イベント助成 国立市文化芸術振興補助対象事業

ユラーテ・ナルモンテイテ「私の作品と創作過程において、時の流れの謎について考えてきました。
周期的な時間と直線的な時間の認識の違い、そして時間と人の潜在意識はどのように関係しているのかについて。森の景色と都市の景観の断片を持つ版画シリーズは、周囲の様々な環境から切り離されて暗号化された時の変化を捉えようとしています。取り組みは2019年に島根県を訪れた時から始まり、スウェーデンのティーダホルムへの留学と版画作業中に発展していきました。日本とスウェーデンに滞在している時は独特な関係性を見つけました。最もインスピレーションを受けたのは両者の瞑想的な性質、誘われるような森、山、川、湖に囲まれた暮らしでした。遠く離れた国々は違って見えるかもしれませんが、自然や文化に関して、つながりもあるという事を発見しました。私のアートプロジェクトにおける問いは、そこから来ています。どのように都会の人は時間の区切りを感じるのか、時に原点へと還り、地平線の変化と同調する事が今なぜ大切なのか。
今回の個展において、見る人に時が変化する過程を体感して自然の独自性に触れて頂きたいと思っています。地元の方々には見慣れているものでも、私には違って見えるかもしれません。初期の2015年からの回顧展であるのと同時に2024年の新作も展示いたします。」

平松朝彦 「今回の企画、新コロナやロシアのウクライナ侵攻の影響もあり実施は危ぶまれたが、仕事でリトアニアと縁があった中野妙香さん、成田千絵さんに多大の協力をいただき、さらに国立市のイベントに対する助成もあり開催にこぎつけた。その結果、展覧会の告知の意味で、まるで宇フォーラムのオールスターズ20人以上の怒涛のライブが企画された。しかし何といってもメインは版画である。日本とリトアニアは豊かな自然があり、文化の共通点がある。今回、鶴や鴨などの鳥は日本の花鳥風月の一つであるが、特に鶴は「吉祥」の意味があり日本の画家にたくさんとり上げられた。北斎のファンというユラーテさんのたくさんの生き生きとした鶴のデッサンはまるで狩野派の作品を彷彿とさせる。しかしそれは石灰岩を使用した本格的なリトグラフの作品であることに驚く。さらにメゾチントによる手間のかかった9枚組の鴨のデッサンは秀逸である。技法だけではない。卵から死という時間と生命を表すフィンランドの神話から生まれた作品。彼女は若いが真摯で、異才の新星あらわる、といったところだろうか。その他、カッコウの羽による写真の版画、白樺の林、時間を表す円形の作品。初期の抽象的形態の作品もありそれぞれ面白い。今回の展示は彼女が取り組む作品の幅の広さゆえにとらえどころがないという印象はある。それぞれのイベントの後には彼女の挨拶と簡単なトークが行われた。参加されたイベントのアーティストの方々も作品に共鳴されたようだ。リトアニア大使館の後援をいただき文化交流は達成されたと思う。多くのご協力いただいた関係者の皆様に感謝します。」








「Crane of Hokusai」

「SAKA」シリーズ

「Kalevalos ants Ⅻ」







「Time」

「Gegute(かっこう)」

「One,Two,Three,days」

「Six seasons」

コラボレーションライブ
● 9.21(土) 16:00 ギャラリートーク、通訳 成田千絵

ユラーテ・ナルモンテイテ氏

成田千絵、ユラーテ・ナルモンテイテ各氏

流星鈴、AEIOU×天土、舞 Hikichi Fumieひきちふみえ、Kitai Kazumi 北井一美、Nakajima Akiko中島晶子、Nakano Taeka中野妙香、クリスタルボール Ohashi Tomoko大橋朋子、チェロNarita chie成田千絵
4人の観音舞の方々は神道の舞の白い衣装に身を包み、その動きも鶴のイメージと重なる。大橋さんのクリスタルボールが響く神聖な世界が出現。練習は少ないはずが見事に息がそろう。

北井、中島各氏

大橋氏

成田、北井、中野、
ひきち、中島各氏

成田、北井、中島、ひきち、中野各氏


● 9.22(日) 16:00 Yasuko Satoh佐藤康子 (25絃箏)、Kasowaki Ouchi門脇央知 (尺八)
「二人は正装の和服に身を包んで登場。会場の二室には大きな25絃の大きな箏が並ぶ。佐藤さんが今回の展示を見て自作された音楽も披露された。前衛と呼ばれる分野で、にこやかな佐藤さんの動体視力が悪くては目に留まらない速さで奏でられた思いもよらぬほどの強い音が会場に響く。門脇さんの尺八独演や、箏のセッションは緊張感のあるものでいわゆる古臭いイメージではない。最後には日本人にも知られているリトアニアの民族曲が演奏され会場は一気に楽し気なリズムに包まれた。

佐藤氏

門脇、佐藤各氏

門脇氏



● 9.26(木) 16:00 Kooji Yamamoto山本コヲジ (クリスタルボウル、ゴング)、Soramame竹内空豆(舞踏)
照明を暗くした会場で山本さんが白いクリスタルボウルの中のろうそくに火をつけると室内はそのゆらめく光だけとなる。隣の部屋では大きな銅鑼のような金属円板が力強く鳴り響く。さらに繊細な透明なガラスの楽器。長身で手足が長い彼の演奏パフォーマンスはダンスのように楽器を操る。空豆さんは白いパジャマで登場。髪の毛を後ろに結った姿は俗世を離れた仙人のようでもあるが現代への風刺か。ユーモラスでおどけたしぐさはチャーリー・チャプリンのパントマイムのようでもあり、舞踏なのか劇なのかパファーマンスアートなのか。多くのファンが遠方から駆けつけ、温かい雰囲気に包まれた。


空豆、山本各氏

空豆、山本各氏

空豆氏

成田、ユラーテ、空豆、山本各氏

● 9.27(金) 16:00 Kujirai Kentaro鯨井謙太郒(ダンス)、Noguchi Izumi野口泉 (オイリュトミー)、Narita chie成田千絵(チェロ)
鯨井さんと野口さんは、ドイツのルドルフ・シュタイナーにより発案されたオイリュトミーというダンスを広める活動をしている。オイリュトミーは心身の調和を整えるといわれる体操の一種でもあるが、パフォーマンスアートとしても知られている。手足の長い長身の鯨井さんが成田さんのチェロの伴奏で鶴のように大きく踊る。

鯨井氏

野口、鯨井各氏

鯨井氏

成田氏

● 9.28(土) 16:00 Furusato Wakako古里和歌子(ダンス)、Narita chie成田千絵(チェロ、ピアノ、歌)
古里さんが静かに登場しゆったりと大きく踊る。モダンダンスと舞踏が混在。成田さんのバッハのG線上のアリアや、サンサーンスの白鳥などの名曲が館内に気持ち良く響く。途中で空豆さんも参加すると会場の全員が舞う展開に。



成田、古里各氏



● 9.29(日) 16:00 farfada(中世ヨーロッパ古楽)、Sally Lunn(プサルテリウムバグパイプ他)、Leo Sai(トンバク、ダク)、RUTA(スタルティネス研究実践団体)
天井からリトアニアの縁起物の飾り(ヒンメリ)が吊るされた下で中世ヨーロッパの古楽器を使った異色の音楽会。Sallyさんによる特徴のあるバグパイプの音からから始まり、ネットで奏法を研究しているというRUTAの方々が集まり歌声の美しさが響く。Leoさんはリュート、ハープシコードのような繊細な音から銅鑼のような珍しい楽器を巧みに操り、大音量の音まで器用に響かせ中世のヨーロッパが再現。


Sally Lunn、RUTA、Leo、ユラーテ、成田各氏

Leo氏





● 10.3(木) Usami Jin宇佐美 仁(うた、舞、和琴)、Nakamura Kanako中村 加奈子(うた、笛、排簫)、Nakamura Taeka中野 妙香(振る舞)、HaruMaya春真彌(舞)
宇佐美さん、中村さんが装束姿で日本の貴重な古楽器、琴、笛、排簫を巧みに操って王朝の雅の音楽を奏でる。春真彌さんは途中で衣装替えして和服に和傘の日本舞踊。日本のいにしえの伝統文化が再現された稀有なイベントとなった

宇佐美、中野、中村各氏

中村、宇佐美各氏

春真彌、中村各氏

春真彌氏

● 10.4(金) 14:00 Shinya Noriko新屋 賀子(ピアノ、歌)、Narita Chie成田 千絵(チェロ)、Nakano Taeka中野 妙香(言ノ葉・舞)、Koushun香春(植物ダンス)
新屋さんのオリジナルの名曲と美声が館内に響き大いに癒される。後半は中野さんの舞と朗読と、香春さんによる植物の生から死を通して命の循環の物語である独自の植物ダンスが披露された。ダンスは絵の展示されている会場を回りながら命の抒情詩となった。

新屋、香春、中野、成田各氏

新屋、成田氏

中野氏

香春氏

香春氏